「韓流ラブストリー 恋の糸」第25話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 二十五話)
著者:青柳金次郎


青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第25


ラバーズソウルの怜音のPCにコールがされた。怜音は直ぐにコールを受ける。ミッコからだった。
「あっ、怜音、ありがとう。あなたには心配かけちゃってごめんね――」
「いえぇ、全然そんなことないです。それよりもミッコ先輩大丈夫でした?」
「えぇ、大丈夫、悠貴の意識も無事に回復して退院したしね……」
「いやぁ、もう一つの方は……」
「あぁ、そっちね、うん、大丈夫だった。なんとかお互いをもう一度ちゃんと理解し合えたと思う」
「それじゃ離婚はなくなったんですね――」
「まぁそういう事だね」
「よかったぁ、心配してたんですよ。あ~よかった!」
怜音は心の底から安心していた。ミッコには絶対に幸せになってほしいと思っていたからである。
ミッコは自分の事のように心配して暮れる怜音が可愛くてならなかった。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第25


怜音は学生のころから面倒もかけたし、色々な相談に乗ってもらった。辛い時はいつもそばにいてくれたミッコは良き姉のような存在だった。勿論ミッコも怜音の事を妹のように可愛がっていた。そんな二人の願いはお互いが幸せであることだった。
「怜音、ジャンヨルとは上手く行ってる?」
「はい、私達の方は今まで通り変わりはありません」
「そう、よかった。あなた達の幸せは、私にとっても幸せな事なんだから必ず幸せになってね」
「ありがとうございます。必ず幸せになります」
その夜、怜音はジャンヨルとソウルと東京という距離を感じることなくスカイプで会話していた。
「怜音、よかったね。ミッコさんのお子さん退院できて!」
「うん、本当に良かった。どうなることかと思っちゃった」
「俺も話を聞いた時はビックリしたよ。こんな事初めてだったからどうしようと思ってオロオロしちゃったよ――」
「ジャンヨルがオロオロしてもしょうがないじゃない」
「そうなんだけどさぁ、でも驚いたよ。お互い事故には気を付けような!」
「そうね、私、ジャンヨルに何かあったら私、死んじゃう――」
「おいおい縁起の悪いこと言うなよ。その気持ちは嬉しいけどね」
「ゴメンゴメン、縁起でもないこと言っちゃって!」
久しぶりの二人の会話は深夜遅くまで続いた。そしてお互いの思いを何時ものように確認し合った。
「おはようございます!」
「おはよう。今日もよろしくね!」
「こちらこそ室長!」
「その室長って呼ぶのやめてくれないかなぁ、どうも……」
「室長は室長です」
怜音はセヨンにそう言われ、自分の立場をもう一度自覚した。そしてラバーズソウルの方は順調に仕事をこなしサムスン本社との仕事も順調に進んでいた。
「久しぶりに今夜行こうかナヨン、セヨンはどう? あれ?フンニは……」
「フンニはさっき用事があるからって出ていきましたよ」
「そう……、でどうする?」
「勿論、OKですよ。ねぇセヨン?」
「大丈夫ですよ、室長!」
「よし、フンニはいないけど取り敢えず決定と言う事で早く仕事を終わらせよう――」
そこへフンニが帰って来る。
「あ、フンニ今夜みんなで飲みに行くことに決まったんだけど大丈夫だよね?」
「あぁ、今夜はちょっと……、先客がいてぇ……」
「おぉ、フンニ、まさか彼女かぁ、オヌシなかなかやるなぁ……」
「いやぁ、室長そうじゃなくて男なんです。実は弟がニューヨークから帰ってきたんです」
「えっ、フンニ弟いたの? しかもニューヨークに……」
ナヨンが聞く。隣でセヨンは意外だと言わんばかりの表情を浮かべている。
「ねぇ、フンニ弟ってどんな感じ? 男前なの?」
ナヨンが聞くとセヨンは隣で頷きながらフンニを見詰める。
「あれ? まさかセヨンもナヨンも彼氏いないの?」
二人は顔を見合わせた後、怜音に顔を向けると両手を広げ首を傾げた。
「そうかぁ、じゃぁフンニ、弟今夜連れておいでよ。一緒に飲もう!」
「えっ、それはちょっと……」
「イイじゃないフンニ、連れておいでよ。ねぇセヨン!」
「そうよ、別に取って食おうって訳じゃないんだから――」

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第25


セヨンとナヨンは顔を見合わせ乍ら明らかに期待しているようだった。
「まいったなぁ、室長、本当にいいんですか? 連れてきて……」
「勿論、私もニューヨークの話が聞きたいわ!」
「わかりました。弟に連絡しときます――」
セヨンとナヨンは急に気持ちが昂った様子でそそくさと仕事を始めだす。怜音はその姿を見て微笑んでいる。
しかしその夜ラバーズソウルのスタッフが予期せぬことが起こるのだった。
夕刻、西の空が茜色に染まったころには仕事も終わり四人は何時もいくカフェバーに繰り出した。セヨンとナヨンはウキウキ気分で急ぎ早に歩いた。怜音はそんな二人を見乍ら今夜の飲み会が楽しくなる事を予想した。
そして店に入り席についたところでフンニの携帯の呼び出し音がなる。フンニはアイホンを耳に当て場所を伝えると遅れないようにと一言いって電話を切った。
「ねぇ、すぐ来るの? フンニ……」
セヨンが急かすように聞く。するとフンニは頷きながら笑みを浮かべた。セヨンとナヨンの気持ちは高ぶって行く。
しばらくしてフンニが出入り口に目をやる。
「オーイ、こっちだ!」
フンニは立ち上がって手を上げた。そしてフンニの視線の先にはフンニとは似ても似つかぬ長身で韓流ドラマに出てきそうな男前が立っていた。


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