「韓流ラブストリー 恋の糸」第33話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 三十三話)
著者:青柳金次郎


翌日、怜音は昨夜聞いた話が気になっていた。
(ジャンヨルに確認してみようかなぁ、でもなぁ……)

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第33


怜音はネットでそれらしい情報が流れていないかをチェックした。しかしこれといった情報は見当たらなかった。
(そうだ! アミに聞いてみよう。アミなら知ってるはず……)
その夜、怜音はスカイプでアミにコールした。
「お疲れ様怜音! どうしたの? 浮かない顔して……」
「うん、実はねぇ、アミに聞きたいことがあるの……」
「なに?」
「…………」
「なによ? どうしたの?」
「あのねぇ……、ジャンヨルのことなんだけどぉ……」
「だから何? じれったいなぁ――」
怜音は思い切って聞いた。
「あのね、ジャンヨルに婚約者がいるって本当なの?」
「あぁぁ、あれね! あれねぇ、破断になったの、はっきり言うと兄貴が断ったの――」
「どういうこと?」
「政略結婚だったの、あの話、何処の国にもあるとは思うんだけど、サムスンにも有ったのよ。いろんな思惑を持った人が達がいるからね。でも兄貴ってああいう性格だから親父を通じて断ったのよ――」
「じゃぁ今は無いってこと? その話――」
「無い! 少なくても兄貴の中では完全に終わった話しよ。心配しないでいいわよ――」
「本当に?」
「本当に!」
怜音の中ではまだ完全に不安が消えたわけではなかった。その夜、ジャンヨルからスカイプのコールが鳴る。
「元気怜音? こないだは態々親父のわがままに付き合ってくれてありがとう――」
「ううん、いいのよ。私も会えてよかったわ――」
「うん、俺もあっておいてほしかったんだ、俺自身、親父に対しての意思表示でもあるからね!」
「それって、結婚ってこと?」
「勿論、いいよねぇ怜音!」
「…………」
突然のジャンヨルからのプロポーズに怜音は驚き、言葉を失った。ジャンヨルはそんな怜音の表情をPCの画面越しにじっと伺っている。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第33


「あっ、ごめん、怜音! 失礼だよね、スカイプなんかで話す内容じゃなかったね。つい興奮しちゃって……」
「ううん、そんなことない、嬉しいわぁ。ありがとう――」
怜音はどうしてもあの事の真相をジャンヨルの口から聞きたかった。
(どうしようかなぁ、聞いちゃおうかなぁ……)
「怜音、何考えてるの?」
「……うん」
「聞いたよ、アミから――」
「エッ? 聞いたの……」
「ああ、心配しないでいいよ。俺の中で絶対にありえない、会社の為にそこまでする気はない。もしも会社の役員連中が強引にそんなことをしようとするなら、その時は、俺会社辞めるよ――」
「…………」
怜音はジャンヨルのその言葉が嬉しくて言葉をなくした。ジャンヨルはPC画面に映る怜音のうるんだ瞳で全てを悟った。
「怜音、ずっと一緒だよ――」
「ありがとう、ありがとう、ありがとう……」
怜音の心の中を支配していた重い空気は一瞬にして消え去った。この時、怜音はもう迷うまい、これから先どんなことが起きても、ずっとジャンヨルを信じてついていこうと思った。
(ジャンヨル、愛してる。私はあなたをこれから先もずっと愛します……)
この時怜音はジャンヨルとの強い絆を感じた。

「おはようございます!」
「あぁ、イルリョンおはよう!」
「あれ? 今日は昨日までとは違いますね。何かいいことありました?」
「そう見える? でも言えないなぁ――」
「ぇえ、気になるなぁ……」
イルリョンは今も尚、毎朝欠かさず怜音に会いに来ていた。イルリョンの中で怜音の存在はどんどん膨れ上がっていた。
「でも、怜音さんが幸せなら僕はそれで満足です。でもあきらめませんよ――」
「イルリョン、ありがとう。でも、プロポーズされちゃったからさぁ」
怜音は少しうつむき加減で頬を赤らめた。それを見たイルリョンはニッコリ笑って答える。
「そうかぁ、ついにその時が来てしまったかぁ……、でも怜音さんその幸せな顔が見れて僕は幸せです――」
「エッ! 何でぇ……」
「そりゃ自分の愛する人の幸せは、自分にとっても幸せなことですよ。だからこれから先もずっと僕は怜音さんの傍にいます――」
怜音はこの時、自分にとってもう一人、太陽のような存在の人が近くにいることを知った。
(イルリョン……、あなた……)
イルリョンは怜音を見詰め微笑みを浮かべた。怜音は自分に屈託のない微笑みを投げかけるイルリョンという存在と、その想いが少しずつ浸透していくのを感じた。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第33


「あなたが怜音さん! 朝からご満悦な顔で男あさりですかぁ――」
「エッ、君は……」
「アラ? 何でイルリョンがこんなところにいるの?」
「君こそどうしてここに?」
「まさかイルリョン、あなたまでもこの女に……」
「悪いかい、僕は間違いなく怜音さんに夢中だよ――」
「許さない! そんなの絶対に許さない! ジャンヨルといい、イルリョンといい、なんで私の愛する男たちをみんな横取りしていくの……」

怜音とイルリョンの間に立ちはだかるこの女性は一体……

この記事を書いたのは……

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