「韓流ラブストリー 恋の糸」第28話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 二十八話)
著者:青柳金次郎


週末金曜日の夜、怜音は待ちに待ったジャンヨルとの久しぶりの再会のために仕事を早めに終わらせて自宅へ帰る。怜音は台所で晩御飯の支度をしていた。夜の九時を回ったところでドアベルが鳴る。
「あっ、ジャンヨルだ!」
怜音は台所で料理を止め、ガスコンロの火を消して玄関へと向かった。喜びが溢れだしそうな想いと同じように足取りは軽い。
「ただいまぁ、怜音! 愛してるよぉ――」
「おかえりジャンヨル、私も愛してるぅ……」
二人はいきなり玄関で熱い抱擁を交わす。そして抱き合いキスを交わしながら寝室へと向かいそのままベッドイン、二人は熱いキッスを交わしながら互いの服を脱がしだす。二人の想いは一致している。少しすると静まり返った寝室にベッドの軋む音とともに怜音の喘ぎ声が混ざりだす。そしてその恋のハーモニーは激しさを増していく、軋むベッドの音が二人をオルガズムへと向かわせる。
「怜音、愛してるよぉ――」
「ジャンヨル私も愛してるぅ……、あぁ!」
「まだだよ、怜音!」
「あぁ、ダメ私……」
激しく繰り返されるジャンヨルの腰の動きが遅くなりやがて二人は力尽きた。部屋にはしばしの間、静けさだけが漂っている。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第28


「ジャンヨル、まだ足りない……」
「わかってるよ、俺も足りないんだ。でも続きはご飯を食べたあとね――」
「……う~ん! 続きが始まったらもうエンドレスだからね!」
「わかってる、時間はたっぷりとあるから、今夜は寝かさないからね……」
お互い顔を見合わせながらニタニタといやらしい笑みを浮かべるとベッドを後にし、リビングへと向かった。こんな感じで週末は昼夜を問わず二人は愛し合った。日曜日の夜、怜音は空港までジャンヨルを送っていった。お互いにとってこの瞬間が何度繰り返しても一番辛く、慣れることはなかった。
そして怜音は翌朝大きなベッドの上で一人目を覚ますと、ジャンヨルとの週末の二日間を思い浮かべしばし余韻に浸っていた。ベッドから出た怜音はシャワーを浴びに浴室へと向かった。浴室で熱いシャワーを浴びながら怜音はジャンヨルが残した胸元の赤い痣を愛おしそうに眺めた。微笑みを浮かべながら怜音は準備を済ませ部屋を後にした。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第28


すると怜音が自宅マンションを出たところにポツンとイルリョンが立っていた。イルリョンは屈託ない笑顔を怜音に向けている。怜音も微笑んで返した。
「おはようございます!」
「……あっ、おはよう。どうしたんですか、こんな朝早く?」
「いやぁ、眠れなくて……」
「なにかあったの?」
「えぇ、この年になって自分にこんな想いをさせる女性に出会うとは思いませんでした――」
「こんな想い?」
「はい、怜音さんは僕の心を鷲掴みにしているんです。あなたは気付いていないようですが……」
「はぁ……、でも、私、彼氏もいますし……」
イルリョンは怜音に彼氏がいることを宣告されても全く怯むことはない様子だった。それどころかイルリョンは神様に感謝していた。
(こんな素敵な女性と巡り合わせてくれてありがとうございます……)
一方の怜音は少し困ってはいたがフンニのことが頭に浮かびキツイことも言えず、苦笑いするばかりだった。
それがいけなかったのか、その朝から会社のある日は毎日イルリョンは怜音の出勤に合わせてマンション下で待つようになった。そして一言二言あいさつを交わすと何もなかったかのようにイルリョンはそのまま仕事へと向かった。
勿論怜音もそのまま会社へと出勤する。怜音にとって幸いだったのはイルリョンと怜音の会社は方向が違い挨拶を交わした後は、お互い別々の方向へと歩き出すのだった。
(イルリョンはいったい何考えてるんだろう。毎朝挨拶するために家のマンションの下で私を待っているなんて……)
怜音にはさっぱり分からなかったがイルリョンも全く嫌みのない接し方だったことから、怜音も抗うこともなくそのまま毎朝あいさつを交わし続けた。
やがてそんな毎日が当たり前のようになっていった。
「どう? みんな今夜行こうか!」
怜音はみんなに向かって、こぶしを握ってジョッキを傾ける真似をした。
「いいですねぇ、行きましょう。わぁ~、久しぶりだなぁ……」
「あぁ、室長! イルリョン誘っても言いですかぁ?」
それを聞いたフンニの顔が一瞬曇った。
「あぁ……、いいけどぉ、イルリョンさんも忙しいんじゃない――」
「そうだよ、セヨン、イルリョンもいきなりは無理だと思うよ」
「じゃぁ電話してみる。私、電話番号交換しているから……」
「しなくていいよ、セヨン!」
「ヨボセヨ……、アニョハセヨ……」
怜音は電話をかけるセヨンを見ながらセヨンが電話番号を知っていることにほんの一瞬嫉妬心が湧いた。しかしその嫉妬心はあってなかったかのように消えていった。セヨンは個人的にもイルリョンと合っているようだった。その時怜音の心の中にイルリョンに不信感を抱く自分がいることに気が付いた。
(なんで私がイルリョンのことを気にしなきゃいけないんだろう……

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