「韓流ラブストリー 恋の糸」第27話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 二十七話)
著者:青柳金次郎


「室長、昨日はごちそうさまでした!弟も喜んでいました」
「いえいえ、こちらこそ色々と話が聞けて楽しかったわ! よかったらまたどうぞ!」
「ありがとうございます。弟も喜びます」
怜音はフンニと会話を交わすと自分のデスクへと戻って行った。フンニも特にどうこう思うことなくデスクについた。この時二人はイルリョンの怜音への気持ちは知る余地もなかった。
「オ~イ、セヨン、ナヨン、昨日はありがとう。弟も喜んでたよ――」
「ねぇねぇ、フンニ、今度また弟さん連れてきなよ。私達はぜんぜんOKだから」
「あぁ、室長にもそう言われたけど、やっぱり弟とは言え部外者だからなぁ……」
「室長が良いって言ったんならいいじゃない!」
「そうだよフンニ、連れておいでよ――」
セヨンとナヨンはイルリョンを相当気に行ったようだった。しかしフンニとしては何故かあまり気が進まなかった。その後は会話を止め三人とも仕事に入った。
その日の夜、仕事を終えた怜音はまっすぐ自宅に帰るとシャワーを浴びた後、スカイプでジャンヨルにコールした。ジャンヨルも仕事を終えて帰っていたらしく、すぐに返事が帰ってきた。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第27


「ジャンヨル元気だった?」
「元気、元気、これで怜音が隣にいてくれたらもう最高さぁ――」
「それを言わないでよ。私もこれでジャンヨルが隣にいたら……、ガオゥ~食べちゃうぞ!」
「怜音、そんなに溜まってんの……、俺も一緒だよ!」
「あぁ、もう何週間会っていないんだったけぇ?」
「かれこれ一か月近いんじゃないかな……」
「だよねぇ、会いたいよぉ~、ジャンヨルぅ~」
「俺も会いたいよぉ~、怜音……」
二人はまるで盛りの着いた猫のようにスカイプでじゃれ合った。この時二人の性欲は爆発寸前になっていた。
その夜は二人とも爆発寸前の性欲をグッと堪えてスカイプを切った。翌朝怜音は通常通り会社へと出勤する。
そして怜音が会社の前まで来てビルの中へと入ろうとした時、自分の名前を呼ぶ声に気が付いた。
「おはようございます怜音さん。私です――」
振り向いた怜音の瞳にはイルリョンが写っていた。
「あぁ、おはようございます……、今日はどうされたんですか?」
「いやぁ、実は怜音さんにお話したいことがあって……」
「私に? なにかしら……」
「あの~、突然なんですが僕、怜音さんに一目惚れしちゃったんです。お付き合いしてください!」
「はぁ~、何で私なの……」
怜音は突然の告白に開いた口が塞がらないといった表情でイルリョンに視線を向けた。



「怜音さんがいいんです。僕は怜音さんに惚れちゃったんです――」
そこへ丁度フンニが出勤してきた。そして向かい合う二人を見て首を傾げながらイルリョンに声を掛ける。
「どうしたんだイルリョン? こんな処で……」
「あぁ、フンニ、たまたまそこで会っただけよ。ねぇイルリョンさん……」
「あぁ、そうなんだ、たまたまね……」
「あ、そうかぁ、それじゃ室長行きましょうか――」
「あぁあ、そうね、それじゃまた!」
慌てるようにして怜音はフンニの後に続いた。あのタイミングでフンニが現れてくれて怜音はホッとしていた。イルリョンからの突然の告白に返す言葉が思い浮かばなかった。
(しかし困った事になったなぁ、でも何で私なんだろう……)
怜音には理解できなかった。いくら考えても首を傾げることしかできなかった。
その夜、仕事を終えて自宅に帰った怜音はシャワーを浴び乍ら考えた。ジャンヨルに話すべきだろうかと、しかし別に特にどうこうするわけでもなく、あえて話すほどのことではないだろうと思い、ジャンヨルにはイルリョンの事を話さなかった。
「じゃぁ怜音、今週末はそっちに行くよ。仕事の方も少し落ち着いてきたから金曜日は定時で終われると思うから、終わったらそのまま羽田から仁川に向かうよ!」
「本当? 嬉しいなぁ、じゃ週末は久しぶりに二人で過ごせるのね――」
「ああ、金曜日は急いでそっちに行くからね! 少しでも怜音と一緒にいたいんだ!」
「私もよ、ジャンヨル。それじゃ私、晩御飯作って待ってるわぁ、早く帰ってきてね、ジャンヨル♡」
「分かったよ、怜音♡」
二人の会話は既に新婚夫婦のように甘くて熱いものだった。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第27



前話を見る

この記事を書いたのは……

support事務局先生

>> support事務局先生の紹介ページへ
▼ この記事を読んだ人は