「韓流ラブストリー 恋の糸」第30話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 三十話)
著者:青柳金次郎


「はぁ~、困ったなぁ、どうしおう……」
「ツゥルルルルー」
怜音のパソコンのコールがなった。怜音はスカイプのアプリをタップし通話に切り替えた。
「お疲れさま怜音、私――」
「あぁ。ミッコ先輩、グットタイミングです!」
「えぇ、なにが? 何かあったの? ジャンヨルと喧嘩でもしたの?」
「そんなんじゃありませんよ……、私たちが喧嘩なんかするわけないじゃないですか――」
「じゃぁ何? ていうかそんなことより怜音、急なんだけど、明日日本に帰ってきて――」
「エッ、明日ですか? 何かあったんですか?」
一瞬怜音の気持ちは高ぶった。明日はジャンヨルに会える、と……
「明日夕方から日本サムスンの社長との食事会があるのよぉ、でね、日本サムスンの社長と貴方も一度会っておいた方がいいと思って……」

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第30


「私がですかぁ?」
「そう、あなたが……」
「分かりまいた。明日朝一の飛行機で日本に向かいます――」
急遽ミッコに日本に帰れと言われた怜音は首をかしげながらぼやく。
「なんで私が日本サムスンの社長と合わなきゃいけないんだろう……」
ミッコとのスカイプの会話を終えた怜音は首を傾げながら考え込む。
「うぅ~ん、なんでだろう……、あれ? 何か……、忘れてたぁ、私の話が終わってない――」
怜音は肝心な自分自身の話をミッコに相談するのを忘れていた。イルリョンのことを思い出しながら大きなため息を吐く怜音だった。
その夜、仕事を終えた怜音は真直ぐ家へと帰る。何時ものようにすぐにシャワーを浴びに行く。
「はぁ、ジャンヨルに相談しようかなぁ……、でもなぁ……、さすがに話せないよなぁ」
シャワーを浴びた怜音はリビングのテーブルの上にあるパソコンのスイッチを入れる。少ししてスカイプのコールが鳴る。ジャンヨルからだった。少し戸惑いながらスカイプのコールを受けた。
「お疲れ様怜音、元気にしてたぁ? そんなことより明日日本に帰るんだろう――」
ジャンヨルにそう言われて怜音はハッとなり思い出す。
「そうなのよぉ、でもさぁ、なんで私が日本サムスンの社長と合わなきゃいけないんだろう? 特に用事はないと思うんだけどなぁ……、ジャンヨル何か知ってる?」
スカイプの画面に映るジャンヨルの顔が少しにやける。そして怜音に話しかける。
「うちの社長が一度怜音に会ってみたいって言うだよ。会ってやってよ……」
何やら意味ありげなジャンヨルの言い方が気になる怜音だったがその意味は分からなかった。またそのことよりも怜音の頭の中にはイルリョンのことが膨れ上がって今にも爆発しそうになっていた。怜音が少し考え込むようなしぐさをする。それに気付いたジャンヨルは、怜音は明日のことが相当気になっているのだろうと勘違いしていた。
一方の怜音はジャンヨルにいっそのこと話してしまおうと考え始めていた。
「ねぇ、ジャンヨル、落ち着いて聞いてほしい話があるの……」
「エッ、どうしたの? 急にあらたまっちゃって……」
「実は……、私ぃ……」
「なに? 気になるなぁ、早く言ってよ――」
「うん……」
「だから何?」
怜音の気持ちは迷いに迷っていた。そして、話すと決めた。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第30


「あのね、ジャンヨル、私ね、告白されちゃったの! どうしよう……」
「……ハッハッハッー、なんだそんなことかぁ、もう脅かすなよ、怜音――」
「エッ、なんで? 何とも思わないの?」
「何を? 告白されたんだろう。だからどうしたの?」
「だって私にはジャンヨルがいるし、大好きだし……」
「流石怜音だね。まぁ怜音ほどの女性を見れば僕じゃなくても告白くらいはしたくなるよ。その男の気持ちはよくわかる――」
「えぇぇ? そんなもんなの? ジャンヨル――」
「そんなもんだろう。僕は鼻が高いよ、そんな魅力的な女性を彼女にもってね!」
「なんだぁ、私、ジャンヨルに嫌われるような気がして話せなかったのよ。その人、私が何度も彼がいるからって言ってもあきらめてくれないんだもん――」
「そのうちあきらめるよ。いや、僕があきらめさせるよ――」
怜音はジャンヨルのその一言に頼もしさを感じながらもこの自信は何処から来るのだろう、とも思った。
「それはそれとして明日は僕の家に泊まるだろう?」
「いいのぉ? 勿論! じゃ美味しいお酒を用意しとくよ!」
「ほんと? 明日は私久しぶりに白ワインが飲みたいなぁ……」


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「そうかぁ……、よし! 分かった、じゃ、とっておきのシャブリを開けよう。それとシャブリに合うオードブルを用意しておくよ!」
「本当に? 嬉しいなぁ……、 じゃ期待しちゃおっかなぁ……」
「期待していいよ!でもその笑いはなに?」
「へぇへぇ~、明日のオードブルは私はジャンヨルがいいなぁ~」
「勿論、明日の怜音のオードブルは僕だよ! で、僕のオードブルは怜音でいいんだよね~」
「も・ち・ろ・ん!」
二人の会話は途絶えることを知らないように夜遅くまで続いた。

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