韓国の政治・経済事情

急速な経済成長を遂げ、グローバルに展開する韓国企業。その競争力や成長スピードは大いに見習う点があります。

ここではサムスンを例に韓国企業がどのように世界的に成長してきたかをご紹介します。

サムスンからみる韓国

日本でもGALAXYなどの製品がよく知られるサムスン電子。韓国を代表する総合家電・電子部品のメーカーです。他にサムスン電機、サムスンSDI、サムスン重工業、サムスン生命など64のグループ会社があり、グループ連結で資本金約9,000億ウォン(≒824億円)・売上高2475億ドル(≒24兆円)、従業員数369,000人という韓国一の巨大財閥となっています。実に韓国のGDPの20%をサムスンが抱えていることになります。

サムスンの創業者・李秉喆は日本の早稲田大学で学んでいた人です。1938年にサムスン商会を設立し、1951年にサムスン物産を、1969年にサムスン電子を設立しました。
しかし日本以上に資源や人材の乏しい韓国で量産主義による成長には限界があるとし、李秉喆の後継者李健煕が経営者に就任した際、徹底的な効率と品質主義による「新経営」という方針を発表しました。
この方針は韓国政府の支持を得て、税制面の優遇措置などを受けてサムスンは大幅に業績を伸ばします。

韓国企業の強さ

韓国企業の強さの理由としてよく指摘されるのが、この「官民一体」の強さです。特に海外進出する企業に対しては韓国政府が強力なバックアップを行う事で韓国企業の競争力を強めたのでした。

また、韓国企業の躍進の背景には「オール韓国」ともいうべき韓国の団結力を見せつけるマーケティング戦略もありました。

たとえばK-POPや韓流ドラマは日本で大きなブームとなりましたが、日本だけでなく中国やアジア各地で、そして欧米でも大きな注目を集めました。このようにして韓国の知名度や好感度をサブカルチャーで十分に高めてから韓国製品を市場に投入することで、抵抗感や違和感なしに韓国製品を世界に広めることができたのです。

サムスンのユニークな企業文化

さて、サムスンには企業文化として「サムスン憲法」というものを掲げています。

「美感柔创」というもので、美しく感性的かつ柔軟で創造的な人材を示す言葉です。人間らしさ、良心、道徳、礼儀作法、エチケット。サムスンの社員はこれらの美徳を身につけ、全員で団結して意思疎通に必要な時間を短縮し、競争力を高めることを目標としています。

また、サムソンにはユニークな「7・4制」という制度があります。朝の7時に出社して午後4時に退社するという変則的な勤務時間によって、ラッシュアワーを避けるため通勤に必要な時間が短くなり、残業もなくなりました。

このような大胆な制度改革によって、サムスンは「変わらなければ生き残れない」という強烈な暗示を社員に与えると同時に、退社後の時間を社員の自己啓発や家族サービスに有意義に活用できるよう配慮したのです。勉強時間の増加によって、サムスンの語学の資格修得者は倍増したといわれています。

「変わらなくては生き残れない」という状況は、現在の日本にもあてはまります。勤勉で競争力旺盛な韓国企業に見習わなくてはならない点は多いのではないでしょうか。

関連レッスン


韓国留学についてさらに詳しく


カリキュラムへ戻る