「韓流ラブストリー 恋の糸」第20話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 二十話)
著者:青柳金次郎


「ハ~イ、ジャンヨル元気ぃ~」
「元気だよぉ、怜音。愛してるよ」
「私もよ、ジャンヨル! でも気が付かなかったわぁスカイプの事」
「本当だよな。何時も仕事で使っているのにな」
「でも気が付いてよかった。これもミッコ先輩のお蔭だよ。先輩には感謝感謝だよ」
「本当だよな、ミッコさんありがとう。感謝感謝だよ!」
「いいえぇ、ジャンヨルいいのよぉ」
「エッ……、どういうこと?」
「ジャンヨルお久しぶり。あれ、武人から聞いてなかった? 私今ソウルなの――」
突然のミッコの登場に驚くジャンヨルだった。
「もう、ビックリしたぁ、怜音も一言言ってくれよ、ミッコさんと一緒なら一緒って」
「ごめんごめん、別に隠すつもりじゃなかったんだけど、言いそびれちゃったのよ。ごめんね!」
しばしの間ミッコを交えてのスカイプでの楽しいひと時となった。そこへもう一人の訪問者がコールを鳴らした。
「アッ、アミからだ。アミ~久しぶり。ミッコさんとジャンヨルも一緒だよ」
「エッ、兄貴も一緒なの?」
「あぁ、違うの、スカイプなの、ジャンヨルは――」
「あぁ、そうなんだ、あぁ兄貴ぃ、何やってんの? どうせ一人で暇なんでしょう――」
「おぉきなお世話だよ! 暇で悪かったなぁ……」
「怜音、何でアミが混ざって来るんだよ。せっかく三人で盛り上がってるのに……」
「イイじゃないジャンヨル、あなた達だって久しぶりなんでしょう。こうして話すの?」
「そりゃそうだけど……」
アミを交えての四人の楽しいひと時は続いた。そしてアミが抜け、ミッコが席を外し、やっと二人っきりになった怜音とジャンヨルは二人の愛の絆を確認し合うようにゆっくりっと時間を使い話した。そして気が付いた時は十二時を回っていた。
「じゃそろそろ寝ようかぁ、明日もあるし……」
「そうだな、明日もあるしな。それじゃ、怜音愛してるよ。また明日……」
「うん、愛してるジャンヨル。明日ね」
二人は会話を終えるとそれぞれのベッドの中へと潜り込んだ。
「おはよう! 怜音、昨日は遅くまで話して他の?」
「えっ、まぁまぁ……」
「それはそれは、朝からごちそうさま!」
「怜音今日はサムスン本社に行くわよ。打ち合わせがあるからそのつもりでね」
 怜音は急いで会社へ行く準備に取り掛かった。
「ミッコ先輩朝ごはんどうします? 朝屋台でも寄って行きます?」
「朝屋台? そんなのがあるの、でも朝から飲むとまずいでしょう」

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第20


ミッコは分かっていながら笑顔を浮かべそう言った。
「違いますよ。お酒はなしです。その屋台じゃないんです」
「分かってるわよ。これでも私、ソウルに何回も通ってるのよ!」
「あぁ、そうかぁ――」
「私は美味しいジュースが飲みたいわ。何処かないかしら?」
「有ります有ります。ミッコ先輩お勧めの屋台が……」
 怜音は以前アミが教えてくれた朝屋台へとミッコを連れていった。そこでよく冷えたフルーツジュースを買った。他のスタッフの分も買い会社へと向かった。
「おはよう。これ差し入れ、ジュースだから冷たいうちに飲んじゃって!」
 五人はそれぞれジュースを片手にデスクへと散らばった。一時間くらいしてミッコと怜音はサムスン本社へと向かうため事務所を後にした。
街は秋を迎え街路には紅葉した落ち葉が散らばっている。怜音とミッコは二人並んでソウルの秋を味わいながら歩いた。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第20


「秋ねぇ、気持ちいいなぁ。私昔から秋の空気が好きなんだぁ……」
「へぇ~、なんかいい思い出でも?」
「そうねぇ、あったような、無かったような……」
「おぉ、怪しいなぁ、先輩のその顔は何かあるな。こっちでしょう?」
 怜音は親指をたてながらミッコの顔を伺った。ミッコは遠い何処かを見詰め乍ら優しく微笑んでいる。
「そりゃそうですよね。ミッコ先輩にも一つや二つの恋バナくらいありますよねぇ」
「なにぃ、その言い方、くらいってどういう意味よぉ。シッケな奴だなぁ」
二人は顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
「さぁ行くか!怜音、そして仕事が終わったら今日も飲もう!」
「えぇ~、先輩今日も飲みですかぁ、みんな大丈夫かなぁ」
「さぁ、行こう!」
 ミッコと怜音は勢いを付けてサムスン本社へと向かった。怜音はミッコの横顔を見詰めた。するとミッコの笑顔がやけに眩しく見えた。だが少しだけキラリと瞳が光ったような気がした。怜音はもう一度目を凝らしてミッコの顔を見つめなおしたがいつもと同じ笑顔だった。
しかしミッコの顔が一瞬キラリと光ったように見えたその訳をその夜知ることとなる。

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