「韓流ラブストリー 恋の糸」第19話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが深める恋の絆 第十九話)第19話
著者:青柳金次郎


「おはよう怜音、どう? ソウルは……」
「はい、最高のスタッフを揃えてくれてありがとうございます」
「いいスタッフでしょう。面接の段階でこの子たちならやってくれること間違いないと確信したのよ。怜音も負けないようにね」
「ハイ! 頑張ります」
「それから私、ソウルには二日間はいると思うから怜音の家に泊めてね」
「勿論、あの部屋広くて豪華なんですけど、私一人だと広すぎちゃって……」
それを聞いてミッコは微笑みながら怜音に向かっていった。
「じゃ今夜はみんなでソウルの街へ繰り出すか!」
「あっ、ハイ……」
「どうしたの? 珍しいわねぇ怜音が飲みでしり込みするなんて、どこか具合でも悪いの?」
「いえ……、実は昨日私の歓迎会をやったばかりなので今日はみんな二日酔いじゃないかと……」
「だから? なに言ってんの、ラバーズの飲み会は社員の絆を深める為の大切な仕事よ!二日酔いなんて通用しないこと知ってるでしょう。みんなにそう言っときいなさい」
「ハイ……」

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第19


怜音は久しぶりのミッコの強い押しに懐かしさを感じながらもスタッフの具合が心配になった。幸い怜音は全然平気であった。
「あのう……、今夜はみんな開けといてね。いや、今夜も開けといて……」
「何かあるんですか?」
セヨンが怜音を見詰め乍らこたえる。怜音は申し訳なさそうな顔で用件を伝えた。
「いいですねぇ、じゃ今夜の店、何処にしようかなぁ……」
「えっ?」
セヨンは平然とした顔で怜音に笑みを返した。
「セヨン大丈夫なの? 昨日あんなに飲んだのに……」
「全然大丈夫ですよ。私一週間位なら毎日でも平気です。ねぇフンニ?」
「ハイ、僕は幾らでも付き合いますよ。毎日でも――」
どうやらラバーズソウルのメンバーも日本同様に飲み会大好きで酒にはめっぽう強いらしい。怜音は内心ホッとしていた。

 午後からミッコを交えての新たな企画が伝えられた。怜音を含む四人のスタッフは真剣な眼差しをミッコに向けた。
ミッコも負けず劣らずの真剣さで四人に案件説明をしながら一人一人に感想と仕事の進め方を話させた。そして会議が終わった時、既に外は暗くなっていた。
「さぁ、くりだそうかぁ、みんな!」
「ハイ、行きましょう。セヨン今日は何処の店にしたの?」
「今日は韓国料理専門店にしました。美味しいですよぉ」
「いいわねぇ、楽しみにしてるわよ」
「それじゃ社長、いきますか!」
「ええ、私もどんなお店か楽しみだなぁ」
 五人は元気よく夜の街へと繰り出した。そして飲んで食べてソウルの夜を楽しんだ。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第19


「さぁ、そろそろ帰ろうか。怜音!」
「ハイ、帰りますかぁ、ぼちぼちおひらきにしましょう」
ぼちぼちおひらきにしましょうと言ったが時刻は既に午前三時を回っていた。三件はしごして五人はべろべろになっていた。怜音はタクシー乗り場まで三人を送って行き、ぼったぐりタクシーでない事を確認して三人を乗せ見送った。
ソウルではぼったくりタクシーが多く、通常ソウル市民は地下鉄を使うのが普通なのである。しかし時間が時間だけにしょうがなかったのだ。
この辺のことはアミから聞いて怜音もリサーチ済みであった。
 ミッコと怜音は家に帰って交代でシャワーを浴びた。熱いシャワーを浴びたせいか酔いも少し醒めてきた。
怜音は電話の留守電に気が付く伝言を聞いた。ジャンヨルからだった。
「なに? 怜音電話でやり取りしてるの……」
「ハイ……」
「スカイプ使いなさいよ。無料よ、テレビ電話!」
「エッ、スカイプって無料なんですか?」
「えぇ~、知らなかったの……、怜音私教えなかったけぇ」
「はぁ……、たぶん……」
「明日からそうしなさい。その方が料金も掛からないし、顔も見乍ら話せるしいいでしょう」
「はい、そうします。さっそくアカウント登録しなきゃなぁ……、こっちに来てからアミのレッスンも受けなくなったし、新しくPC代えたからスカイプ使ってなかったもんなぁ……」
ミッコは怜音を見乍ら微笑んでいる。
「さぁ、怜音、私寝るね!」
「アッ、ハイおやすみなさい」
 二人はしばしの時間ではあったが眠りについた。
そして朝が来た。二人は眠い目をこすりながら洗面所へと向かうミッコはシャワーを浴びる。怜音は鏡に向かって歯を磨いている。そこへ携帯の呼び出し音が鳴った。怜音は歯ブラシを口に入れたまま携帯を手に取り電話に出た。
 相手はジャンヨルだった。
「怜音、昨日は大丈夫だったのか? ミッコ先輩と一緒だったんだろう……」

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第19


 ジャンヨルは心配そうに尋ねる。怜音は口をモグモグさせながらこたえる。
「大丈夫だったよ。ごめんね、電話に出られなくて、ジャンヨル、今夜からスカイプにしようよ。顔も見ながら話せるしね」
ジャンヨルは怜音の声がハッキリと聞き取れなくて一瞬何を言いだしたのかと思ったがすぐにピンときた。
「あぁ、そうかぁ、その手があったね。仕事で使っているのに忘れてたぁ……」
「今夜コールするからね」
「わかった。今日は仕事早めに終わらせて帰るよ」
「私も頑張って早く終わらせるね!」
怜音は携帯を切った。
「ジャンヨル? 相変わらず仲良さそうね。安心したわ」
「ええぇ、おかげさまで……」
怜音は少し照れながらミッコを見た。ミッコは微笑みながら頷いている。
今夜からジャンヨルの顔を見ながら話せると思うと怜音の心はワクワクしていた。


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